14/10/2012
by lumi on 10/14/2012
日に日に冬の影が濃くなる。街を歩く人たちの吐く息は、もうほんわりと白い。
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“ひとからの預かりものを抱えている。いれかわりたちかわり。誰だってきっとそうだ、とおもう”
2005年1月8日の、7年と9ヶ月前の、わたし。
世界に騙されつづけたい、深追いしたくないと言う22歳の自分。ばかだなと笑おうとしたけどできなかった。ただほろ苦い。でも、こういう断片が残っていてよかったかな、とも思う。また何年も、読み返すことはないんだろうけど。
2005年の日記には、『海辺のカフカ』からの引用もあった。そうだ、この年に文庫版が出たんだっけ。
“「でも時間というものがあるかぎり、誰もが結局は損なわれて、姿を変えられていくものじゃないかしら。遅かれ早かれ」
「たとえいつかは損なわれてしまうにせよ、引き返すことのできる場所は必要です」
「引き返すことのできる場所?」
「引き返す価値のある場所のことです」”
— 村上春樹著『海辺のカフカ(下)』 43ページより
30を目前にしたわたしの現実は厳しい。こんなこともできないなら来るな、と言われるなら、もうやめてしまってもいいんじゃないのか、とも思う。やっぱりごめんなさいわたしには無理でした、と言ってしまってもいいんじゃないか。自分がこなごなになる前に投げ出してしまうほうが、かえって取り返しがつくんじゃないか。
だけど結局は、つないでしがみついていくことを選んでいる。スウェーデンまで来て何やってるのと思うけれど、いつも穏やかに健やかにいられるわけじゃない。
何年後かにこういうの読んで、今度はばかだなって笑いたいな。通り過ぎてしまえば夢のようで、一瞬なのに、って。
落ち込んだときにはケーキ。やっぱり甘いものは、効き目抜群です。
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