探していたものを見つけられたような気持ちになることもあるし、
麻痺してるみたいにあまり感覚がなく、糸口さえつかめないこともある。

だから、おもしろいのだ、と思う。

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さて、少しだけ前の話。

実は、ブルノに泊まった最後の日は、テルチという町へ遠征していました。
ブルノからバスで、片道2時間弱。

オロモウツ→クロムニェジーシュ遠征が想像を超えるつらさだったので
(とにかく電車もバスも空調がないので、窓が開かない場合すさまじい温度になるのだ)
直前まで行くか迷っていたのだけど、やっぱりどうしても行きたくて、えいっと。
結局この日はあまり暑くならなかったので、余裕の遠征でした。よかった。






テルチの旧市街は、14世紀に大火があり、その後再建されたのだとか。
城門と池に挟まれたこのあたりは、それからあまり雰囲気を変えず、維持されてきたそうです。






テルチ城のなかは、とても穏やかだった。
体中に酸素が行き渡って何もかもが美しく見えるような時間を、この旅で初めて過ごせた。






パン屋さんが、道に椅子を出してクッキーを売ってた。
アイシングで描かれた模様が、なんだかこの国っぽい。

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昨日はブルノから、チェコ南西部のチェスケ・ブデヨヴィツェという町に移ってきました。
こんどは、4時間半の電車の旅です。

しかし、ブルノから途中駅まで1時間ほどがバスで振替輸送という原因不明のアクシデント。
そのうえそのバスの運転手さんといったら半端じゃなく、
普通の路線バス的車体で高速道路をかっ飛ばし、トラックにがんがん追い越しをかける。。
怖いを通り越して完全にテンション上がったよ笑。いやいや。






電車に無事乗り換えてからは、空いてるレトロな電車で、快適な旅。






チェコは車窓の風景がほんとうに愉しい。いろんな色が、かわるがわる現れる。

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そして今日はチェコでもっとも美しい町とも言われる、チェスキー・クルムロフへ。
チェスケ・ブデヨヴィツェからは、バスで30分くらい。

しかしそのバスに乗った瞬間から、あまりのアジア人の多さに驚く。
日本の人からたまにこの町の話聞くから人気あるのかなとは思ってたけど、ここまでとは。
これまでの旅程ではアジア人にまったく出会わなかったので、本当びっくりした。






着いて納得。たしかに、素晴らしく美しいところでした。

この華やかな町は13世紀から建設がはじまって栄えてきたわけだけれど、
これまで、特に20世紀には、ドイツ系住民が追放されたり、ドイツ軍に破壊されたり、
共産主義の中で価値を認められなかったりで、荒れ果てた時期もあったそう。
もう綺麗に修復されているし、そんな時期があったなんて想像しにくいけれど。

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今ここで生きる人がいて、かつてここで生きていた人がいて、
ここで生まれた人も、ここで死んだ人も、ここへ辿り着いた人も、出て行った人もいて、
ここを愛した人がいて、きっと憎んだ人もいて、
大きな力を持って、ここをただの物のように奪った人がいて、大切に扱った人もいて、
そういう人たちの手ですこしずつ、たまに劇的に、町は変わっていく。
いくら雰囲気や建物自体が変わらなくても、修復しても、変わっているはずなのだ。

だから、歴史的な価値を認めることが絶対善だなんて誰が言えるだろう、と思うけれど
(たとえば大きな力に守られなくても、荒れ果てても、それが人あっての変化なのだから)
この町にとって今は、そういう時期だってことなのかもしれない。
観光地としてこの町があるのも、長い歴史のなかのドラマチックな一瞬なのかも、と。

それでも、変わりながらも繋がれてきたものが、
ある程度の確実さをもってすくなくとも今ここにはある、というのだからすごい。

うまく言えないけど、だからわたしはこういう町を歩くのが好きなのだ、と思う。
町の一瞬(かもしれない)のきらきらした時間を享受して、
積み重なる色んな人の色んな思い、移り変わりを、
比較的変わらずに継がれてきた(かもしれない)建物や風景を通してすこしだけ感じる。
身勝手な、いわばただの思い込みのようなものだけど、それが愉しい。のよ。






窓辺の雰囲気とか、壁の質感とか、貼られたポスターとか表札とか、そういうのが大好きで
気がついたら、こんな写真ばかり撮ってる。






川ではたくさんの人が、ゴムボートに乗って遊んでた。

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もともとあまり夜に出歩くほうではないけれど(女ひとりは危ないしね、一応)
今回は特に、夕方遅めの時間には帰ってきて、夜はゆっくり過ごしています。
勉強したり、本を読んだり、ストレッチしたり、それからなんといってもオリンピック!
体操の裏でテニス、その後競泳が続いた昨夜は、晩ごはんに出る時間もありませんでした笑

わたしは完全なる凡人なので、選手の思いなんて、想像することもできないけど
それでも競技と選手の表情を見ているだけで、嬉しさや切なさがこみあげて泣いてしまう。






観戦のお供はこれ!!!
スーパーのウエハースコーナーの広さは、チェコに来て驚いたことのひとつです。

31/07/2012 22:31









なんでわたしはここにいるのか、なんでここへ来たのか。

きっと忘れられないだろう、この色と、匂いと、暑さ。

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スウェーデンはヨーテボリを目指し、日本を出てはや18日。
わたしはというと、現在チェコ東部モラヴィア地方にある、ブルノという町にいます。

いったんヨーテボリまで行ったにも関わらず、何故こんなことになったかというと
要は、8月中旬からのスウェーデンの居住許可を申請するため、
スウェーデン国外へ出なければならなくなったのでした。
日本国籍かつEU圏(但しシェンゲン圏外)で長期居住許可を持つイギリスの大学生、
というわたしの複雑な身分があちこちで誤解を招き、こうなってしまったわけだけれど
何はともあれ自分が徹底して確認していればと、激しく落ち込みました。

そんなわけでロンドンへ戻り、すったもんだの末、無事居住許可を取得。
ただその時点でもうヨーテボリでの講習や宿はキャンセルしてしまっていたし
(許可がおりるまで最低でもひと月はかかると思っていたのに、1日でおりるなんて!)
8月4日からはどちらにしても旅行の予定で、すでに色々手配していたので
それまでの2週間なら、日本にいったん帰るよりも、どこか行ったほうが安い、、、

そうして、まさかの放浪生活がはじまりました。

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オリンピックに湧くロンドンは、宿も高いし(普段でさえも異常に高いのに!!!)
交通機関も結構めちゃくちゃだったので笑、まずは3日ほどウェールズに逃れ
wizz airの格安航空券を手配して、ここブルノへ来ることに。

チェコを選んだのは、いつかまたまとまった期間行きたいと思っていた国のなかで、
物価が安く、リゾートの観光客が少なく、それほど暑くなく、ちょうどいい航空券がある、
と、条件が揃ったのがここだったから。
暑さに関しては完全に当てが外れたけれど(まあでも、南のほうよりはましだと思う)
宿と食事のみつけやすさと安さは思っていた通りで、ほっとしています。

ひさしぶりの、言葉がまったくわからない環境には、
いっぱいの不安を覆い隠すような、のびのびとした興奮がある。
自分の知っている世界から、完全に切り離された感覚。むせるような孤独と期待。

小さな空港からの路線バスを降りて、ぽつんとブルノの中央駅前に立ったとき
わたしには目も留めず歩く人たちや行き交う車、トラムを眺めながら
ああこの感覚はわたしが心から愛しているもののひとつだ、と改めて思ったのでした。






ブルノにあるトゥーゲントハット邸。設計は勿論、ミース・ファン・デル・ローエ!
もともとブルノにいずれ来ようと思っていたのは、これが見たかったからでした。
実は去年来るつもりだったのだけど、修復中だったので、終わるのを待っていたの。

チェコスロバキアの分離独立に際して、調印式が行われた場所でもあります。






トゥーゲントハット邸の帰りに、お昼ごはんを食べたお店。
ふらりと入ったのだけど、古いリトグラフがたくさん飾ってあって、素敵だった。

チェコ料理はお肉や揚げ物が多いけれど、とても美味しい!
ここではハムとチーズのカツ(新じゃがとにんじん添え)とオレンジジュースを注文。
味も完璧だったし、それで500円しないくらい。正直助かります。。






ブルノには中4日ほどいたので、周辺の町にもちょいちょい行きました。
これはブルノから電車で1時間半ほどのところにある町、オロモウツにある、聖三位一体柱。
なんていうか、凄まじいオーラだった。空気が違った。ここだけ。






オロモウツの帰りには、クロムニェジーシュという町にも行ったよ(最初の写真2枚目)
移動はローカル線で。東洋人はさすがに少ないのか、まわりからガン見されました笑

それにしてもこの日は暑かった!
夕方4時ごろにクロムニェジーシュで温度計を見たら、34℃、、、
教会の塔の螺旋階段を上ったときには、散々歩いたあとなのもあり、ふらっふらでした。。

クロムニェジーシュからブルノまではバスで帰ってきたのだけど、
バスも当然冷房などないし、窓も開かないので、そーとー暑い。完全にサウナだった笑

この日泊まっていた安宿にも空調はなく、一晩中暑さと蚊に苦しめられることに。
うなされるし、いやはや、悲惨でした。

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明日には5泊過ごしたブルノを離れ、西へ移動します。
さて、この先どんなことが待っているのやら。

出かけたり、勉強したり、言葉のわからないテレビを見たり、遠くにいる人を想ったり。
旅らしい日々を、過ごそうと思います。

29/07/2012 23:35



Photograph >> Paris & Mont Saint-Michel
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