25/01/2013

by lumi on 01/25/2013

 

 

太陽と地中海とおおらかな家並みを求めて。

 

 

昨日本屋でぱらぱらとスペイン語のガイドブックを捲っていて、1枚の褪せた美しい写真に釘付けになった。ちいさく添えられていたSitgesという名前には見覚えがあった。海沿いの町だ。写真には海は写っていなくて、その町並みはいまにも両側の壁から表面がぽろぽろと剥がれ落ちてきそうだったけれど(敢えて歴史のある古い建物の写真を使ったにちがいない)、自信に似た感情がふつふつ湧いてきた。明日はここへ行こう、と思った。

 

 

 

シッチェス(Sitgesと書いてこう読む)はバルセロナから電車で30分ほどのところにあるちいさな町だった。ビーチのあるリゾートの町で、モデルニスモ建築の町で、60年代にヒッピー文化が栄えた町でもあるらしい。

 

駅前の案内所で地図をもらい、まずはまっすぐビーチへ向かう。並ぶ椰子の木の向こうに青い海が見えたときには、そう、これこれ、と大声をはりあげたい気持ちだった。そもそも旅行先にバルセロナを選んだのは、地中海が見たかったからなのだ。

 

 

 

椰子の木の下にあるベンチで、時間を忘れて地中海を眺め、波の音を聴き、太陽の光を浴びた。スウェーデンにはない眩しさに、ほとんど泣きだしそうだった。ひたすらにじいっとして、どれくらいあそこにいたんだろう。

 

雲ひとつない空に椰子の葉のふちが滲んで、放っておいたらすこしずつ溶けていきそうだった。

 

 

 

オフシーズンの観光地、それも海のそばの町が好きだ。夏のように鮮やかではないけれど、独特のさっぱりとした穏やかさがある、と思う。そして海はどの季節も、変わらず美しい。

 

 

飽きるまで海のそばで過ごしたあとは、旧市街の路地をゆっくりと、くまなく歩き回った。かすかな潮の香りと、やさしい色の家並み。どこかから聴こえてくるスペイン語は、音ひとつひとつが愉しい。

 

 

 

すてきな風景にたくさん出会ったけれど、ここへ来るきっかけになったあの美しい写真の場所はついに見つけられなかった。旧市街の路地はぜんぶ歩いたはずなのに、なんでだろ。なんだか化かされたような気分だったけれど、おかげでこんな一日を過ごせたわけだし、まあ、いいかな。

 

 

 

ベランダが好きで好きでどうしようもないので、気がついたらこんな写真ばかり撮ってた。

 

 

じゅうぶんにシッチェスの空気を吸って、夕方早い時間にはバルセロナへ戻った。やっぱり今回も見ておかねばとサグラダ・ファミリアに詣で、そこから歩いてカサ・バトリョへ。なんだかんだ言いつつ結局また、ガウディを巡っている。

 

また歩いてすこし遠くの行ってみたかったカフェへ行き、さらに歩いてホテルへ帰った。今回はあまり地下鉄を使わず、かなり距離があってもほとんど歩いて移動している。点だったものを繋ぐ作業。

 

 

ずっと終わらなければいいのにと、もう思いはじめている。

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