18/11/2012

by lumi on 11/18/2012

 

毛布に溶けながら、プリムローズ・ヒルの夢を見る。

 

ロンドンは霧の都というけれど、冬はほんとうに天気がよくない(もちろん、霧が出ることもある)。だから晴れた日にはそれだけでちょっと特別な気持ちになって、学校帰りによくここへ出掛けていた。丘をのぼり、柔らかい光に目を細めて、遠くに霞む街を飽きることなくながめた。日本を離れたときに生まれたふたり目のわたしがもっとも愛した、愛している場所。ルンドで暮らすようになっても、それは変わらない。

 

それほど遠くない未来に、今度はここから決定的に離れなくてはいけない日が来るんだろう。ふたり目の自分をわたしが失うことになるのかどうかはそのときになってみないとわからないけれど、どちらにしてもその節目にわたしはもう戻らない時間を束ねて、表紙に何重にも焼きついたプリムローズ・ヒルの風景を飾るにちがいない。

 

まずは、来年の秋、無事にあの場所へ帰れるように。

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